もう手戻りには悩まない!ChatGPT/GeminiとVite/Next.jsで作る「爆速プロトタイピング」開発フロー

「クライアントの要望で仕様が二転三転し、手戻りが多発…」「頭の中にあるア
イデアを、素早く形にして検証したいのに時間がかかる…」
多くの開発者が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。現代のWe
b開発はスピードが命ですが、同時に品質も求められます。このジレンマを解消
し、開発をもっと心地よく、創造的なものにするのが「Vibe
Coding」の考え方です。

そして今、このVibe Codingを劇的に加速させる強力な組み合わせが登場してい
ます。それが、生成AI(ChatGPT/Gemini)モダンフロントエンドフレームワーク(Vite/Next.js)の連携です。この記事では、この2つを組み合わせることで、いかにして開発初期のプロトタイピングを「爆速」化し、手戻りのリスクを最小限に抑えることができるのか、具体的なフローとノウハウを解説します。

なぜこの組み合わせが「爆速」なのか?

「AIとフレームワークの組み合わせ」と聞いても、まだピンとこないかもしれま
せん。この開発フローの核心は、両者の強みを掛け合わせることで生まれる、圧
倒的な相乗効果にあります。

  • Vite/Next.jsの強み:超高速なフィードバックループ</strong >
    ViteやNext.jsといったモダンなフレームワークは、Hot Module
    Replacement (HMR) という技術により、コードの変更が瞬時にブラウザに反映さ
    れます。書いたコードの結果を待つストレスがなく、「書いては試し、試しては
    直す」というサイクルを高速に回せるのが最大の利点です。
  • ChatGPT/Geminiの強み:思考の壁打ちとコードの雛形生成</st rong>
    一方、生成AIは、私たちの曖昧なアイデアを具体的なコード片に変換する能
    力に長けています。「こういうUIコンポーネントが欲しい」と伝えれば、数秒で
    Reactコンポーネントの雛形を生成してくれます。これは、ゼロからコードを書
    き始める際の心理的な障壁や、定型コードを書く手間を劇的に削減します。

つまり、AIで「アイデアの具現化」を加速し、Vite/Next.jsで「試行錯
誤」を高速化する。
この2つのサイクルを組み合わせることで、従来の
開発プロセスでは考えられなかったスピードで、動くプロトタイプを構築できる
のです。


実践!爆速プロトタイピング・フロー 5ステップ

では、具体的にどのような流れで開発を進めるのでしょうか。ここでは、Next.js(TypeScript + TailwindCSS)を使った開発を例に、5つのステップで解説します。

ステップ1: 要件定義とコンポーネント設計をAIと対話する

まず、いきなりコードを書き始めるのではありません。AIを「優秀な壁打ち相手」として、作りたい機能の要件を整理します。

例えば、以下のようなプロンプトを投げてみましょう。


Next.jsとTypeScriptで、ユーザープロフィールカードのコンポーネントを作成
します。
以下の要件を満たすコンポーネントのpropsの型定義(interface)を設計してく
ださい。

要件
– ユーザーのアバター画像URLを表示できる
– ユーザー名を表示できる
– ユーザーの自己紹介文を表示できる
– フォローボタンがある
– フォロー状態(フォロー中/未フォロー)を管理できる
– フォローボタンがクリックされたときに、そのイベントを親コンポーネント
に通知できる

この対話を通じて、必要な機能やデータの流れを事前に明確にすることで、後の
手戻りを防ぎます。AIは思考の漏れを指摘してくれる良きパートナーになります

ステップ2: AIにコンポーネントの雛形を生成させる

設計が固まったら、次はその設計書を元に、AIにコードの雛形を生成させます。
ここでのポイントは「完璧なコード」を求めないことです。あくまで「叩き台」
として利用し、時間を節約するのが目的です。


ステップ1で定義したpropsの型定義を使い、Tailwind
CSSでスタイリングされたReactコンポーネントのコードを生成してください。
フォローボタンは、フォロー状態に応じて表示テキストと色が変わるようにして
ください。

AIは、この指示からJSX、CSSクラス、そして基本的なロジックを含んだコードを
生成してくれます。あなたはもう、面倒な div
の入れ子や、基本的なCSSクラスの記述に時間を使う必要はありません。

ステップ3: Vite/Next.jsの高速HMRでリアルタイムに調整

AIが生成したコードを、あなたのVS
Codeに貼り付け、ローカルサーバーを立ち上げます。すると、Next.jsのHMR機能
により、即座にブラウザにコンポーネントが表示されます。

ここからがVibe Codingの真骨頂です。AIが生成したコードをベースに、あなた
は「創造的な微調整」に集中できます。Tailwind
CSSのクラスを少し変えてデザインを試したり、テキストを書き換えたりするた
びに、その結果が瞬時に目に映ります。この「即時フィードバック」の心地よさ
は、開発のモチベーションを大いに高めてくれるでしょう。

ステップ4: ロジックの実装とリファクタリングをAIに相談する

見た目の調整が終わったら、次は機能の核心部分であるロジックの実装です。こ
こでもAIは活躍します。


現在のコンポーネントでは、フォロー状態をuseStateで管理しています。
これを、より再利用性の高いカスタムフック(useFollowState)に切り出すリフ
ァクタリングを行ってください。

このように、より良い設計やコードの改善についてもAIに相談できます。車輪の
再発明を避け、プロジェクトの初期段階から質の高いコードを維持するのに役立
ちます。

ステップ5: テストコードの生成で品質を担保する

「爆速」開発は、品質を犠牲にしては意味がありません。プロトタイプがある程
度固まったら、その品質を担保するためにテストコードを追加します。これもAI
に手伝ってもらいましょう。


このコンポーネントに対して、VitestとReact Testing
Libraryを使ったテストコードを生成してください。
以下のケースをテストしてください。
- コンポーネントが正しくレンダリングされること
- フォローボタンをクリックすると、onClickイベントが正しく発火すること

テストコードを書く手間を削減することで、開発者は「テストを書くのが面倒」
という心理的ハードルを越え、より気軽に品質向上に取り組むことができます。


メリットと注意点

この開発フローは強力ですが、万能ではありません。メリットを最大限に活かし
、落とし穴を避けるために、以下の点を理解しておくことが重要です。

  • メリット:
    • 圧倒的な時間短縮:アイデアから動くモノ
      までのリードタイムを劇的に短縮できます。
    • アイデアの即時検証:素早くプロトタイプ
      を作ることで、そのアイデアが本当に価値があるのかを早期に検証し、方向転換
      を容易にします。
    • 創造性への集中:定型的な作業をAIに任せ
      ることで、開発者はより創造的で、人間ならではの価値を発揮できる領域に集中
      できます。
  • 注意点(デメリット):
    • コードの正確性:AIが生成するコードは、
      常に正しいとは限りません。必ず人間の目でレビューし、理解した上で採用する
      必要があります。
    • 思考停止の危険性:AIに頼りすぎると、な
      ぜそのコードが動くのかを理解しないまま開発を進めてしまい、応用が効かなく
      なったり、問題解決能力が低下したりする恐れがあります。
    • セキュリティ:AIに機密情報やプライベートなコードを
      入力しないよう、セキュリティ意識を高く持つ必要があります。

まとめ

ChatGPT/GeminiとVite/Next.jsの組み合わせは、単なるツールの連携以上の価値
をもたらします。それは、開発の「体験」そのものを、より速く、より直感的で
、より創造的なものへと変革する力を持っています。

AIは、私たち開発者の仕事を奪う存在ではなく、面倒な作業を引き受けてくれる
「賢い相棒」です。この相棒をうまく乗りこなし、あなた自身の創造性を最大限
に発揮することで、これからの開発はもっとエキサイティングなものになるでし
ょう。ぜひ、今日の小さなコンポーネント作りから、この「爆速プロトタイピン
グ」を試してみてください。


著者:ブルーウェーブ